ボチボチと生きてくよ!秋田篇

35年振りに故郷に戻り生活することになった、気がつけば中高年の泣き笑いなど。
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四日間戦争 初日

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(前号から続き)〜というわけで、45歳の就活が始まった。
もはや以前の業界には何の未練もない。
いやむしろ、別の業界に挑戦してみたくなっていたのだ。

その頃まだハローワークというところに出入りしていなかったから、
求人誌が情報の主たるソースであった。

しかしいかに膨大な件数を掲示する求人誌であろうと、
中高年をスキ好んで募集しようという企業などほぼ存在しないようだ。

「馬鹿だなこいつら…、オレ様を雇えば、どんな職種だろうと、
半年のうちに数億の売上げを、毎月恒常的に上げられるようにしてやるのに…
それなのに’私たちは平均年齢27歳の若い職場でーす’……
絶対、それ以上のトシの奴なんか面接にも来るなよなってサインだよなあ!…
死ぬまで仲良くやってろ…」….と、まあそんな風に
まだまだ世の中ってものを甘く見ていたそんな状態のまま、

「中高年(45歳くらいまで)大歓迎!」という奇特な募集を見つけた。

「むむ…わかってる企業だな、我々中高年のプライムを!」
で、これが大変なことになるのだ。

新宿の古びた雑居ビル。
へなちょこ面接者など軽く一蹴し、難なく面接を済ませて、
何の会社かよくわからないまま、入社手続きに入ると、
何だかやけに「誓約書署名」が多いのだ。

社外秘を厳守する誓約書(当然当然)。
退職しても一切の秘密を外部に漏らしませんよ誓約書(そんなもんだ)。
特に同業他社には絶対漏らしませんよ誓約書(そうだなあ)。
社内従業員の個人情報も一切漏らしませんよ誓約書(そろそろしつこいな)。
社是に即さない請求を一切行なわないですよ誓約書(ん?)。
一切の賠償請求・告訴はいたしませんよ誓約書(何?)
ネット上で会社批判を書き込んだりもしませんよ誓約書(おいおい)……。

今も存続している会社なのと、辞めたとはいえ守秘義務があるらしいので、
内容に関わる情報をここで出すつもりはないが、
いずれにせよ私は「某喫茶系チェーンの店舗開発課」
というところに配属されたらしい。

数分して突然オフィスに緊張が走った。社長が現れたらしい。
面接官の、ちょいと頼りないあんちゃんの表情も緊迫した。
私がいるパーテーションの外側の、異常に張りつめた空気感が痛いほど伝わってくる。

不意に面接室に社長という男が入ってくる。
鋭い目つき、目の血管が充血し今にも破裂しそうな、
昔の大映あたりの悪役映画俳優風の、いかにもタダモノではない雰囲気の中、
社長は私の履歴書やジョブカードを眺めながら、
私の半生を評論し始めた。

「大学はまあまあのところなのに何故辞めた…?ふーん、もったいねえな…。
 30で課長、33で部長…40で…典型的な零細企業のお山の大将かい。
 ふん…オレに言わせりゃ典型的な負け犬人生だなオマエは…」

「…負け犬ですか…」と重ねると、頼りない面接官のあんちゃんは

「ダメダメ…応対しちゃ」と目で合図した。

「オマエみたいな性根の腐った負け犬野郎はなあ、店舗開発課…
 案外向いてるかもな…まあ頑張りなよ」 

やれやれ、散々な言われようだけれど、
口の悪い奴は案外腹は白いものだ…そう考えると、
あの社長はズバズバ言うけどいい人かも…
勝手にそう思い込むようにしたが、これがまたとんでもなかった。

店舗開発課は面接時とは別のビルで、そこはまあ、
新宿でもとても有名な風俗ビルの最上階にあり、
ビルの前の客引き、ぽん引きを掻き分けて、
やけにピンク色のキンキラした装飾のエレベーターに乗り、最上階に上がる。

初日は始業時間(8時)より早めに来い、と云われたので、
朝6時半に到着すると、既に20名ほどの同課スタッフ(ほぼ全員)は到着していて、
挨拶をしても誰もが忙しそうで、ほとんど無視な状態。

7時半になると朝礼が始まるとのことで、会議室に移ると、
椅子が壁に沿ってコの字型の並べられていて、どうやらその末席に私が着席すると、
社長が例の血走った目で現れ、やはり突然怒鳴りだし、
成績不良な社員の徹底糾弾が始まる。

周りの社員達まで巻き込んで、その成績の上がらない社員を一斉に責め、攻撃する。
責められた社員は立ち上がり、顔面を蒼白にして私のところに来て、
席を替われと云う。
席はどうやらそのまま社内序列となってるらしい。

次々と数人が糾弾され、私のウシロに移動してくる。
ふと気が付くと、私のウシロには5人ほどの先輩社員がいた。
社長が言う

「PIPCOよ、オマエはまだ何もしてないのに、今日からもう主任だよ!
 基本給が2万上がった、はい拍手!」
「パチパチパチ…」
こんな虚しい拍手は初めてだった。

時間は9時を回っていた。2時間にも渡る怒号の大朝礼も終わり、
急ぎ外回りなどにそれぞれが散ってゆく中、私に与えられた初日の研修は、
指定の「同業他店」を3店、自社直営店3店を回り、
各店の席数、客数、店の特徴などをレポートして、夜の会議で発表する、
という任務。計6店とはいえ、全て別の地区で渋谷、新宿は良いが、
その他、柏だの大宮だのの店舗も回らなくてはならない。

「さあ、時間ないよ…夜の会議は20時からだから、
 まあ19時くらいには戻れるように時間配分して…」
50年配の新人教育係にそう促され、慌てて外へ出た。

実は一人歩きでの初日研修…案外楽しいじゃないかあ…と思っていた。
お茶飲んで、席数、客数を数え、年齢層や平均の滞在時間、
設備やメニュー、価格などを確認し、さらに、どうせならと、
立地条件、収益性、接客対応など、気がついたことを次々メモしていった。

19時ぴったりに、帰社した…。
ビル周辺は、朝とは段違いの狂騒を見せている。
結局会議はまたしても社長同席の上、夜9時に始まった。
いきなり私の調査報告から始まり、恐らく予定調和の『質問』が次々に飛び、
報告を終えると、社長は

「PIPCO、明日から4席昇進、係長! 明日もその調子で頑張れ!」

案外良い会社かもしれない….そう自惚れ、思いつつ、
会議が終わったのは23時を過ぎていた…
明日はもうちょい早く出社して、完璧なマッピングをしておけば、
もっと効率的に回れるはずだよ…と、先輩の「課長」が初めてアドバイスしてくれた。
まだスマホはなかったから・・・・。

さて社長の激しいツンデレぶりが発揮される怒濤の2日目は、次回。



ボブ・ディランが来日する。
初来日は何が何だか分らなかった。
あまりに過去とは異なる別の顔の神様がそこにいたような気がした…
と思ったが、今聴くと、思ったほど違ってはいなかった。
我々の側が、神・神と勝手に盛り上がって奉ってしまった結果、
あまりにも現実なイデタチの彼に失望し、戸惑ったのかもしれない。

数年後、奈良・東大寺でやっぱり神様を見た。
最悪にも出演順が日本の某X-ナンチャラとかいう
チャラいバンドの出演直後で、会場もステージも、
ぐちゃぐちゃに散らかされ、キャツらの出番が終わると
潮が引くように一斉に観客も引いてしまったから、
その荒廃しきった惨憺たる場の空気の中、神様は登場した。
我々は神様にとても申し訳ない気持ちになって、
気持よく歌の世界に入り込むことが出来なくなってしまった。
なんともボブディランには借りがある。いつか返さなばと思いつつ
今回も実現しそうにない。

と、いうわけで大好きなRolling Thunder Revueからの
「ブルーにこんがらがって」 カッコ良すぎだぜ!


血の轍血の轍
(2005/09/21)
ボブ・ディラン

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6 Comments

amamian3 says..."凄い会社に"
入っちゃいましたね(怖;;;;;;
この続きがはさらに恐ろしいことに・・・
怖すぎますが 聞きたいです!!
体調はいかがですか
こちら
時に車のクーラーを入れました
2014.03.02 21:27 | URL | #wZiQHpeI [edit]
pipco1980 says..."amamian3さん こんばんは"
おお、クーラーですかあ!
こっちはまだまだ寒いっすよお、羨ましいです。

まあ10年前の話なんで、当時はなんて酷い!と思ってましたが
今、こうしてまとめてみると、案外、自分が幼かっただけ!?って
部分も多くて、反省しきりだったりします。
2014.03.02 23:19 | URL | #- [edit]
ジオヤー says...""
こんばんは

この調子で出世すると、あっという間に副社長の座に
つくことになるんじゃないでしょうか。
でも、社長は無理でしょうね~、このワンマンぶりでは。

この映像見てたら、元祖ラッパーのような気がしてきました。
でも、何で、ペイント?、デヴィッド・ボーイや、T Rexのような
グラムロックが流行ってた頃だからですかね。
2014.03.04 00:28 | URL | #LkZag.iM [edit]
pipco1980 says..."ジオヤーさん 毎度です"
読みにくい長文にお付き合いいただいて、恐縮です。
もう3回ほど続きますが、よろしくお願いします。

ディランはこの散発的ツアーと併行して前衛と云うか、
即興映画「レナルド&クララ」というのを撮ってまして、
その映画で彼は、白塗りの道化と云うか、ちょっとイッテルヒト
を演じていて、このライブフィルムもその映画の一部
ということでご了解ください。
同ツアーでは、過去ソングも大胆なロックアレンジで演じてますから
一種の仮面というか別人...そんなニュアンスも感じ取れるわけです。
2014.03.04 01:39 | URL | #- [edit]
oyajisann says...""
今晩はディランは初来日の時これ見逃したら2度とない
だろうと前売りの整理券並んで取って武道館の真ん中
6列目の席ゲット。
バンドがバックの偉大なる復活当りの音の再現期待し
たけど見事肩透かしの印象。
ディラン肉眼で見たって印象しか・・・。
その後何度も来日とは思いませんでした。
2014.03.04 13:28 | URL | #eTRrWisM [edit]
pipco1980 says..."oyajisannさん こんにちは"
お休みの日にワザワザお越しいただいて申し訳ないです...。

私も行きましたよ武道館。
残念ながらアリーナではなく2階席でしたけど。

もうアレンジ自体が酷かったですかね...?
仰るとおりThe Bandというわけにはいかずとも
せめてローリングサンダーレビュー程度のメンツは
連れて来て欲しかった....。
個人的には元キングクリムゾンのドラムが来るって云うんで
妙な期待と不安がありましたが、思いっきり不安の方が
的中しちゃいましたよ!。
2014.03.04 14:42 | URL | #- [edit]

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