ボチボチと生きてくよ!秋田篇

35年振りに故郷に戻り生活することになった、気がつけば中高年の泣き笑いなど。
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静かに生きたい…?

DSC07617S.jpg
SUMMAR 5cm / F2(1937)

落葉寸前のシダレヤナギの、独特の脱力感というか、
無重力感が、何だかこの街の有様によく似ているなあと
思いながら撮ったショット。

こうして眺めると、脱力してはいるけれど、
決して無気力ではない。

強い主張などしないけれど、
場の空気を乱さぬよう、その場に毅然と立っている…。

そんな生き方も…あるのだな。

ミュージシャンを生業にしていた頃、たまたま後輩の男が、
バークレー音楽院に留学…。
その後、数年間、音信は途絶えていたのだが、
既にサラリーマンになって久しい私のモトに、
突然彼から国際電話があった。

南米のチリからだという…。

彼は開口一番に「ビジネスの話がしたい」と私に言い放った。
聞けば留学先で知り合い、付き合ってた南米からの、やはり留学生と、
そのまま結婚することになった。彼女はチリの貴族の出とは聞いていたが、
実際に挨拶に行ってみたら、なんと王家の一族だった。

しばらくそのままチリに留まるうちに、様々なことが分かってきたらしい。
王家の一族とはいえ、親類縁者がやたらに多いから、
財産分与というのも、さほど期待できない。

ところが、この国では当時の軍事政権と上手く結んだ王家や貴族が、
あらゆる事業の権益を握っている(日本も似たようなものだが)。
つまり、それぞれが利権を生かしてビジネスを行い、それぞれが富を得る。
ただし兄弟や親類とビジネス上で競合すると「殺し屋」を雇われて
消されてしまうから、独自の販路を持たねばならない。

そこで彼が思いついたのは、風の噂では、Pという男は音楽家から
足を洗い、今は取るに足らない、小さな貿易商社に居て、
アジアの辺境やアマゾンの奥地で何やらウゴメイテルらしい…。
ならば、この国に奴を呼んで、何か有効なビジネスを見つけさせ、
道を切り開かせれば…。

そうして数週間後には、私はオメデタクも、
まんまとサンチアゴに飛んだ。

今はどうだか知らないが、当時はアンカレッジに一度降りて、
次はどこだか忘れたけど、アメリカ南部あたりのブルースが聴こえそうな空港へ行き、
さらにペルーの首都リマだったかのツゴウ3回トランジットする超長旅の上、
生々しいが、往復交通費(?)だけで100万円くらい掛かったように思う。

やはり彼の友人で、アメリカの商社勤務だという
かなりケチな…倹約家なオランダ人と、何故だか私はコンビを組んで、
さてさてと、チリの名産品巡りが始まった。

当時のお国の最大の自慢はブドウの生産。
それを生かしたワインにレーズンを、何とか世界市場で売りたい!
…それがお国の第一希望らしい。

しかし何だかパンチが弱いし、市場規模もあまり期待できない。

結局ワインは、私の会社が、軍事政権と王家の即席取引免許を得た上で、
知り合いの酒類専門の商社に話を持ち込み、年間輸入量を決め、
我が国でもチリワインがボチボチと流通するようになったらしいが
(当初のお披露目イベントなどには参加した…)
以後は無関係で、市場規模がどうなったとか、私は知らない。
たまに家人が「今日はね、チリのワイン買ってきたよ、珍しいでしょ!」
ってねえあーた!?…であったりする。

私にはもっと興味津々な「ブツ」が出現していた。
北部のアルゼンチンとの国境付近で産出されるという鉱石
ラピスラズリ」…。

やっと、本論に入ってきたぜ…そう思った。
石炭やら硝石(ガラスの原料)の方が市場規模は大きいのだが、
軍部の有力者や王家のどなたかと競合するから、そちらには触れられない…
ラピスラズリなら、取るに足らないくらい小さな商社とはいえ、
当社にも世界中にマーケットがある…。

焦点は定まった……かに見えた。

軍と王家の強力なコネクションをフル活用して、
まずは安定し永続的な採掘権確保しておきたい。

ただし国境付近の山岳地帯…。
反政府ゲリラだとか、盗賊だとかが跋扈するエリアらしく、
まずはそうした輩を掃討せねばならず、ここは軍の出番。
しかし遅々として情況は進展しない。

私は一旦帰国し、結果を待つことにした。

半年ほど経った頃、チリに残ったオランダ人から連絡が入るのだが
内容が衝撃的すぎて、私は呆然として、どう対処して良いか分からず
瞬間パニックに陥ってしまった…。

「政権が倒れてしまった。革命だ、クーデターだ…もう駄目だ!」

「落ち着け!、奴さん夫婦はどうしてる?」と訊くと、

「行方不明...国外に脱出したらしい」

「無事なら良いのだが…。」

新聞によると、オランダ人が云うのはかなり大袈裟で、
実際には、軍事政権が選挙で負けて、普通に民主政権に戻っただけなので、
特に物騒なことは無いらしいのだが、どうやら振るえるはずの「権益」は、
相当に制限されるらしい。

既に取引が始まってるワインとか、一部レーズンや干し肉などには
影響もないようだから、当社的には損失はないのだが、
既にアフガンからのラピスラズリも政情不安で流通が不安定のまま。
相当なビジネスチャンスも見込めただけに、とても残念だったし、
政局も睨んで仕事せねばならぬのだな…勉強になったなあ…
そんな風に思って諦めていた。

しかしこの話には意外なオチがあったのだ。

王家に婿入りしたはずの彼は、その後、
なぜだか知らぬ間に帰国していて、当社とは比較にもならない
超一流の大商社に入社していた!。
噂ではラピスラズリなどの鉱物資源の採掘権などを手土産に、
高待遇で入社したらしい。

まんまと利用された…みたいだ。

不思議と悔しさは無かったけれど、一つ気掛かりは…
あの王家の嫁さんはどうしたんだろう?
やっぱり奴にだまされたんだろうか?
せめて日本人というものを、嫌って欲しくないなあ
そう願うのみだ。



大好きなエルビスコステロで、おそらく5番目くらいに好きな歌。
今思うと、何だかとってもバブリーなサウンドに思える。
まあ、浮かれてたのは日本人だけだったんだろうがね…。

余談だが、曲が始まる前に後ろでカラダを揺すりテンポを確認してる
ベースのブルーストーマス...まさにバンドマン時代の私そのもので懐かしい。
心の中で次の曲を唄いながらテンポを確認していて、
そのままカウントする場合もあるし、フルバンドだと指揮者のおっさんがいて、
私のカラダの揺れを感じながら、指揮者がテンポを出す…。
妙なことを思い出してしまった。
Elvis Costello And The Attractions - Everyday I Write The Book


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8 Comments

mikitaka08 says...""
こんにちは

 凄い話ですね。
 チリは遠い。私の知人も4~5年前に留学中にニセコの農園でアルバイトをし、強制送還されましたが、ヨーロッパ経由で長時間飛行し、やっと着いたとメールが来ました。
 したがって、pipco1980さんの体験記を読み、あらためて遠い国と実感しました。

 この体験記をふくらませると、冒険小説になりますね。音楽ネタやそのバークリーあがりの後輩ビジネスマンを登場させると、ビジネスものにも探偵・推理小説も書けるかも。
 せっかくバークレー音楽院まで行きながらビジネスマンになったその後輩の方も人間的に興味ありますね。
 雪深い秋田と大東京とN.Y.を結んで、秋田弁、英語、スペイン語入り乱れ、当時のチリ情勢を考えると北方謙三も「エビータ」も真っ青の大傑作ができるのでは。pipco1980さんの文章力と音楽で鍛えたリズム感で十分可能だと思います。
 それにしても、アジア、南米と世界を飛び回っていたのですね。ずっと田舎に閉じこもっていた私には信じられない人生です。
 面白い話、エルビス・コステルを楽しむ余裕なく、じっくり読ませていただきました。ありがとうございます。
 
2015.11.26 12:37 | URL | #- [edit]
oyajisann says..."今後"
今後サンタカロリーナ?ぐらいしか飲んだ事ないですが
チリワイン飲んだらこの話思い出します。
何だか故船戸与一の小説みたいですね。
コステロさんの8枚目パンチからの曲。
初期のコステロさんの作品はボーナス付きで何度も再発。
(パンチは7曲+と26曲+あり)
とても再発全部は手が回らいないけどお気に入り多いです。
2015.11.26 13:36 | URL | #eTRrWisM [edit]
pipco1980 says..."mikitaka08さん 毎度です"
こんにちは
どこであろうと、人間が欲得で蠢くと、そこには実に人間臭いドラマが
生まれるんだと思います。そうとは思わない一件も何となく焦点を変えれば
ものすごいドラマになることも往々にしてあり得ると思います。
で、自分の場合も、さすがに人生の中で革命だの、王家だの、自分の依頼?で
結果的に国家の軍を動かす?なんてあり得ない話だと思ってましたけど、
客観的な視点で文章にすればこうなるわけで、もしかするとそれぞれが
気がつかないだけで、ホントは誰もが、とてつもないドラマの主人公を
演じているのかもしれません。

バークリーに行った彼はピアニストでしたけど、そのチリの嫁さんの方が
数段、才に恵まれていて、その時点で自分の音楽家としての人生は諦めた
と話してました。大商社も2〜3年後には「もう辞めてる」とのことでしたし。

2015.11.26 14:17 | URL | #- [edit]
pipco1980 says..."oyajisann さん 毎度です"
こんにちは

知り合いの大商社=某物産社員でカリフォルニアワインを仕掛けた奴が
いまして、そいつにある日、「随分田舎クセえワイン仕掛けやがったなあ!」
って嫌みを云われたことありますよ。まあ所詮そんな程度の仕事です…。

Punch The Clockは8枚目でしたっけ??当時の印象では、
TKOホーンズなんか従えて、久々賑やかで元気なコステロが帰ってきたぜ!
ってアルバムで、結構売れたんじゃないかな??曲も粒ぞろいでしたしね。

2015.11.26 14:29 | URL | #- [edit]
amamian3 says..."おはようございます"
雪 降ってますか

島も 15℃でした
北風が冷たく「冬支度しなくっちゃね」と家内がつぶやいています

柳の風情 好きですよ
こちらでは見かけない木でもありますが
しなやかで 強い  頑丈な椎の木でも台風では枝葉が折れますが
これはなびきつつかわしますよね
そんな柔軟に対応する様がいい

先日沖縄に行ってきました
半袖短パン・・・列島は長いです
仕事もそこそこに「生まれた場所」を見に行きました
血が騒ぐのを抑えつつ佇んでみましたが
なんだか不思議な感じがしましたよ

妙な寒波です
ご自愛くださいね
2015.11.27 08:09 | URL | #wZiQHpeI [edit]
pipco1980 says..."amamian3さん 毎度です"
柳に風….そんな生き方に憧れたんですがね…
極端に「機を見るに敏」なセセコマしい人生になっちゃったみたいです…。

今、アラレがパラパラ降ってますけど、初雪はまだです。
普段は11月10日前後ですから、今年はだいぶ遅いですねえ。
だからといって暖かいわけじゃあないですけど….。

歳のせいか指先や足先が冷えるので、外出には手袋や厚手の靴下は必須。
ですから半袖短パンなんてパラダイス!、心底羨ましいですよお。
2015.11.27 11:43 | URL | #- [edit]
ギターマジシャン says..."コステロ"
エルビス・コステロは、デビュー当時の鮎川誠のようなルックスだったり、
渋谷あたりでトラックからゲリラライブをやったりと、イメージが先行し、
パンクロックの旗手と思っていて、後に「シー」とかのバラードの曲を知り、
自分でもあきれるくらい、雑誌記事を勝手に解釈する、恒例パターンです。

「シー」にしても、映画「ノッティングヒルの恋人」で聴いたのではなく、
テレビで、南海キャンディーズのしずちゃんと、NEWSの増田が出た、
クリスマス特番のドラマの挿入歌で、いい曲だなと検索して、知りました。

動画の曲は、これまた、こんな路線の曲までやっていたのかと思うほどで、
AORのような、フュージョン、カリプソ系の感じで、才能に脱帽です。
2015.11.27 23:08 | URL | #- [edit]
pipco1980 says..."ギターマジシャンさん 毎度です"
コステロは英国ではもはや大御所…コステロ卿の誕生も時間の問題かと…?
そんな大御所も、本来のあらゆる大御所偉人の方々とコラボしてますし、
実質コステロ節がビシビシ伝わる曲が、何故かマッカートニー作になっても
ニコニコしてるし、小野ヨーコさんの曲までカバーしてますから、
もう充分に、あらゆるところに目端が利いた大政治家(?)でも
あるわけですな。
エルトンジョン卿には、私はいまいち乗り切れませんが、コステロはもう
デビューからずっと観てきてますから、リアルタイムなスターでもあるわけで、
もしかすると、私の中では英国勢のピークに居続ける人かも知れません。

2015.11.27 23:40 | URL | #- [edit]

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