ボチボチと生きてくよ!秋田篇

35年振りに故郷に戻り生活することになった、気がつけば中高年の泣き笑いなど。
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ある「脱走兵」の告白

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P.Angenieux Paris 45/f2.9 (1949)

先日、たくさんの地元ミュージシャンの方々と
酒宴で様々語らうことになって、
何だか自分のかつての姿というか
葛藤みたいなものが、
35年ぶりくらいに蘇ってきてしまった…。

バンドマンを生業とし始めた頃、
なぜだか様々な先輩方から忠告と云うか、
アドヴァイス的なお言葉をいただくことが多かったのだが、
まず、必ずと言っていいほどいわれるのが、

「俺たちは芸術家じゃなくて所詮は職人…
 お座敷が掛かればタイコ持ちにもなるし、必要なら酒も注ぐ…」

「それでも、ただ器用なだけのバンドマンにはなるなよ!」

それがどういうことなのか、
その時の自分にはよくわからなかった。

しかしだ…。
身の回りにいるバンドマン達と云うのは、
学生アマバンドの延長で、ポッと出の私などと違って、
輝かしい音楽経歴を持ち、うらやましいほどの才能と技量を持ち併せているのに、
(東京芸大卒、バークレー卒、他にも有名なミュージシャンに師事した
 経歴の者などが、普通に...ザラにいる世界…)
当時の自分でさえ、疑問に感ずるほど、
クライアントの要求に従順で、何も言わず、
ただただ、ニーズに沿ったサウンドを黙々と提供するだけ…。

それって、あなた方が持ち得た、たぶん幼い頃は神童とまで云われた
煌めくような天賦の才能や、その才能を将来に生かす為、
評判の良い先生に師事したり、専門の学校や大学に通い、
あるいは留学までして得ることになった
最高のパフォーマンスでもなければ、
非凡なセンスでもないでしょう?

もっと御自分の本来の能力を生かすサウンドを表現できれば、
誰だって感動し、ひれ伏すほどの「能力」をお持ちなのに、
それを敢えて隠し、音楽なんて殆ど知らない、縁故入社の
クライアントのおぼっちゃま方の薄っぺらいニーズを、
ひたすら詮索し、表現しようとするバンドマン達…。

こういう情況を、毎日のように見せられると、
なにかとても悲しくなって、一体バンドマンって何なの?
普通に誇りあるアーティストでミュージシャンじゃいけないの?
そう悲観的になるのだ。

だから先輩達は、まだ若手の自分に

「お前はそうはなるなよ!」

そう忠告したかったのだろう…そう思っていた。

で、結局、馬鹿な私は、どんな仕事でもただひたすら
自我を出しまくった演奏をした。
これが自分のスタイルだから、気に入らないなら
次また使ってくれなくて結構!
仕事なんて一期一会、そんな自分の音を気に入った人だけ
使ってくれれば良い。

そんな傲慢とも云える考え方で仕事に向きあっていたら、
案の定、みるみる仕事がなくなった。

ところがだ…、いつの間にか...

「あんまりバンドマンぽくない、面白いセンスのギタリスト知らないか?」

というニーズに引っかかり、バンドマン仲間や
プロダクション関係者らから「変な仕事?」が
紹介されることが多くなって、結果、旧来の歌謡曲ではない、
所謂ニューミュージック(Jポップ?)、さらに時代的にテクノポップ系とか、
ちょいとばかし尖った先端系のレコーディングセッションやら、
ツアーに呼ばれることが多くなって、
もはやバンドマンではなくなったかな…と思い始めたけれど、
いわゆる高給の「日銭」が殆ど入らなくなって、収入は激減した。

その頃、何やかやと多忙ではあったけれど、月に一度、
学生時代の銀座の友人の家で、早朝から深夜まで
新譜のロックやジャズのレコードを、大量に聴く会
に参加していたのだが、実は唯一それが心の拠り所で、
気持ちを解放する場でもあったりした。

ある日、ビルネルソンの「Red Noise」って云うアルバムを知って、
異様に衝撃を受けた。

もちろんビルネルソンすなわちBe Bop Deluxeでの彼は
よく知っていたが、新しいユニット「Red Noise」では
Be-Bopの安定した人気をかなぐり捨てて、
時代に即した新しいサウンドに取り組み、格闘している彼がいたのだ。

友人は云う
「ビルネルソンって、アンタととっても似てる気がする…
 音が…じゃなくて、センスはいいのに、器用じゃなくて、
 何をやっても満足できないっていうか、上ばっかり見てるタイプ。
 自分の現実を充分に掌握して、今出来ることと出来ないことを
 キッチリ整理。じっくり足元を固めていく時期が今なんじゃないか??
 歌謡曲が儲かるなら、他の音楽を愉しむ為の資金稼ぎと割り切って
 継続すべきで、そのバランスがアンタ、とっても偏ってる気がする」

ビルネルソンは、その後、バンド活動にとらわれずに、
信頼できるミュージシャンとのコラボや他人のセッションにも
積極的に参加し、資金を得た後、レーベルを立ち上げるなどしながら、
現在は悠々自適に「宅録」でコンスタントにアルバムをリリースしている。

私はと云えば、その後人間関係的にいろいろあって、
すっかり神経が疲れてしまい、もう音楽なんて要らない…
普通にサラリーマンになりたい。
月々、決まったお給料をいただいて、心穏やかに生きていきたい…
そう考えるようになってしまった。

その後、昔の音楽仲間に会うことも、ないではなかったが、
私など彼らから見れば、あきらかな「脱落者」で「脱走兵」。
仮に事業など興して大成功したとしても
「負け犬」でしかない。

ビルネルソンみたいに…なりたかったか?
そう聴かれても、果たしてどうなのか、
実際には今もまだ、良く分からないのだ。

まずは Bill Nelson/Red Noiseから、実績も経験も
安定した人気もある人が、何故ここまで新しいサウンドにこだわるのか??
とっても衝撃だった曲
Bill Nelson/Red Noise - Don't Touch Me I'm Electric


そして2010年の作品で、タイトルがなんとNeil Young…!
もはや怖いもの無しの大胆不敵、天下無双?
Bill Nelson - Neil Young


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2 Comments

ギターマジシャン says..."ビルネルソン"
いつもながら、ほとんど知らない人でして、レッドノイズの曲は、YMOか、
香津美の歌もんの雰囲気があって、そう思うと、歌まで高橋幸弘に聴こえて、
ニールヤングというものすごいタイトルの曲は、ブライアン・フェリーや、
デビッドボウイに聴こえてくるし、テクノ・パンクを通過した感じがします。

YouYubeでビバップデラックスを聴くと、すごいポップなロックをやって、
アイドル歌手のバックでも尖っていたpipco1980さんが呼応したのですね。
2016.09.10 06:51 | URL | #- [edit]
pipco1980 says..."ギターマジシャンさん まいどです"
全く御専門ではないような分野にまで、きちんとご考察いただきまして、
感謝しております。

おっしゃるとおり、ある時点から、特にユキヒロ氏の影響が強いように
思いますが、もちろんそれだけではないブリットポップのまさに本流との
ミクスチャーという感じで、ワクワクしながら聴いていた時代が懐かしいです、

ほとんど体系立てて説明されてないですけど、ビルネルソンとか土屋昌己氏、
ピテカントロプス系の方々、さらにJapanやXTCといった、
いわばYMOチルドレンみたいな連中が、第二世代のティンパンアレイを
日英で形成していたとも云えるのかな?なんて思いますね。
2016.09.10 08:41 | URL | #- [edit]

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