悩めるオヤジ
Carl Zeiss Jena 'Biotar' 2/58 (1958)
もうそんな季節なんだね….。
今年は体調不良で無為な夏を過ごした為に
どうも季節の移ろいが早すぎる気がしてならない。
昨夜は、所用で帰省した東京在住の
小学校時代の同級生を迎えての呑み会…。
まさか自分が在郷で「迎える側」に立つとは
なんとも驚きで、複雑な感じ。
そして彼女に対して自分の口から出た、
とても意外な言葉に、自分自身が驚愕するのである…。
「自分もね、東京で生活してる頃は、
何があっても故郷に戻ろうなんて
考えたことすらなくて、完全に東京の人に
なったつもりだったんだが、
諸々事情あって、心ならずも戻ってみたら、
これが意外にいい具合なんだよね…
ありがたいことに、こうして友もいるし」
常々自覚しているわけではないけれど、
たぶんこれは、自分の偽らざる本音だな…そう思った。
そんな心境なのに、その反面、
いつまでもここにいるわけにはいかない。
自分の居場所はここではない…。
そうも思う、悩めるおじさんであるのだ。
高校生の頃、ヴァンモリソンの音楽は、
何となくキャラヴァンとか、南沙織の曲にそっくりな
ワイルドナイトとか…断片的には知っていたものの、
アルバムをしっかり聴いたのは実はこれが最初。
2枚組のヴォリュームのライヴアルバム
「It's Too Late To Stop Now」。
邦題は「魂の道のり」。
このレコードも、例によって、元々の持ち主なんて
一体どこのどなたか分からない状態で、自分のところに
「はいよっ…悪いが明後日までな!」って調子で迷い込んできたもの。
きちんと期日通りに返せば、また他の何かのレコードが借りられるから、
少し慌ててレコードを聴く…内容が気に入ったら、家にある
カセットテープに…、もっと強烈に気に入ったらオープンリールの
テープにコピーする(4トラックだけどね…)。
無論テープ代も高いし、そうそうは買えないから
新たに録音するには、何かを消さなくてはならない…
それが思案のしどころとなって、後になって後悔したものもかなりある。
このアルバムは、なにしろ一発で感動した。
ヴァンの歌声はもちろん力強くて素晴らしいのだが、
それより驚いたのがバックバンド…11人編成の
カレドニア・ソウル・オーケストラがとにかく
当時のライヴとしては異例なほど繊細で美しい!。
なにしろ相当しつこく聴いたので、テープは伸び、
しょっちゅう切れるから、スプライシングテープであちこち
補修しながら聴いていたから、ところどころ音が抜ける箇所があって、
その抜け方すら未だに覚えているくらいだ。
結局、観念して。私はこのレコードを購入するのだが、
殆ど聴く暇なく、例の「レコードシェアシステム」に巻き込まれ、
数ヶ月後にボロボロになって戻って来るのだったが、
「まあ仕方ないな…」って感じで今度は、チリチリとノイズまじりで
時々針トビするレコードで、この曲を聴くのだった。
今は、このアルバムの補完音源というか、同時期のライブで
纏められたパート2〜4と、当時英国でTVとFMラジオ
同時生放送(サイマルキャスト放送)され、熱狂したと
ピーターバラカン氏が盛んに自慢してたライヴ映像まで
どこからか発掘され、ボックス仕様で発売されたりと、
このアルバム周辺は何となく賑やかで、まあ結構なことだ。
Van Morrison - Into The Mystic
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