ボチボチと生きてくよ!秋田篇

35年振りに故郷に戻り生活することになった、気がつけば中高年の泣き笑いなど。
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格差のラビリンス

DSC09111あ
Carl Zeiss Jena SONNAR (改L) 5cm/1.5 (1941)

この日、私の隣でカメラを構えていたご年配紳士の、
その手に光るのが、あの憧れのライカ…
しかも現行最新機種のLeica M(typ240)…。

うーむ…カッコいいなあ、気になるなあ…
チラッとで良いから、触らせて欲しいけれど、
いきなり話しかけるのもどうなんだろうか??...
いいなあ、今の自分じゃ絶対買えないなあ…。

そんな風にイジイジと少し卑屈になっていたら、
なんとライカの方から….いやいやご年配の方から
話しかけてきた。

L 「旦那さんのそれ…凄いレンズですね…ズミクロン?いや、違うな?」

私「ゾナーっすね。ズマールのマウントが強引に取り付けられてますけど」

L 「あっ…そうそう、イチゴーの戦前ゾナー…へぇー、やっぱ雰囲気あるねえ」

私「いやいや、こんなものより現行M型ライカ…すごいっすね!」

L 「ああこれっ…会社の備品なの…公私混同だよねハハハ…
  じゃっ、がんばって…」

と、ご年配は、次の被写体を追って移動してしまった…。

最新ライカを備品にする会社って、いったいどういう会社??
カメラ屋さん?写真屋さん?....ううーむ触りたかったなあ...。

帰宅すると、ネットニュースに
「ライカM10…ウェッツラー本社で発表!」...。

本体価格 6,500ユーロだって…。

もちろんレンズは別売りで、本体と同じような値段…。

うーん、一生、縁がないねえ…楽にクルマ買えるものねえ…。

夢だけ見ていようかねえ…ちょっと悲しいなあ…。



学生時代、まだアマチュアバンドなんかで
ダラダラ暮らしてたような頃、
同じ学部の、既にプロのベーシストになって、
ばりばりレコーディング現場で稼いでた男が
突然、

「君さあ…あしたヒマかい?」....と云う。

残念ながら、ほぼ毎日が暇人な私は、
いったい明日何があるのさ?と尋ねると

「大阪まで、付き合ってくれないか??」という...

聞けば、梅田のN楽器店に、アレムビックのエレキベースが
3本入荷したのだそうで、試し弾きの上で1本買って帰るつもり…
自分が知ってるなかでは、どうやら君が一番耳が良いみたいだから、
客観的な意見が欲しいんだよ!....。

正直、ベースの音色なんて、そんなに違いを意識した事なんて
なかったけれど、どうせヒマだし…久々に新幹線に乗るのも悪くない…

車中で、崎陽軒のシュウマイ弁当+ビール付き…って条件で、
終日付き合う事にした。

耳が良いっていうのは、どうやら音楽センスが信頼できる(?)
という意味らしく

「ザッパとマイルスとクリムゾンとピストルズを同列に聴いてる
 奴なんて、自分の知り合いでは君くらいしかいないから...」

新幹線車中で、ビールを呑みながら、彼はそういうのだった。

試奏した感じの、楽器としての個体差は殆どないものの、
まずは全フレットの音程の正確さを確認しようと云う事になって、
今にして思えば、チューニングメーターでチェックすれば
さほど手間なく済む事だが、まだメーターを使うっていう
習慣は一般的ではなく、まだまだ音叉が主流の時代、
一音一音、耳をそばだてて、絶対音感もないくせに、
音程を確かめる作業の末に、3本の中、最も首を傾げる事が少なかった
1本を選んで、彼は購入した。

ケース込みで80万円…

当時の私の、親からの仕送りにアルバイト稼ぎを加えた
総年収にほぼ匹敵する金額…。

何となく…「格差?」って言葉が、頭を掠める。

東京に戻り、そのまま銀座の彼の家に初めてお邪魔した。

銀座の家って、どんなだろう?
と、あれこれ想像したけれど、実際は、
全く想像とは違う、いわゆるしもたや風「木造2階建て」の
普通に小振りな家。

狭くて浴室すらなくて(簡易的なシャワーが、ホームドラマみたいな
屋外の物干し台に設えられていた。お姉さん専用らしい)、
基本的に家族は一日おきに、近所の銭湯で身体を洗うのだそうだ…。

そしてお父さんもお母さんもお姉さんも、みんな
東京下町風の、フレンドリーで明るい良い人たち。
初対面の自分をまるで親族みたいに迎えてくれた…。

ずっと重くのしかかっていた「格差」って言葉は
いつの間にか消えていた。

結局、以後30数年間、私はこの竹を割ったようにさっぱりとした
ご家族に、お世話になりっぱなしだったりするのである…。



私からみれば、ウルトラ高額すぎるアレムビックベースだが、
その後彼はこれをあまり表立って使う事はなかったようだ。

「アレムビックを持っていくと、いつも勘違いされて
Rock'n Roll JellyやらSchool DaysといったJeff Beckとの競演曲とか
チックコリアのRTFの曲をやろうとか云われて困る」

と云うのだ。

どうやらスタンリークラークのベンベンと唸る独特のサウンドは
お気に召さないらしく、

「アレムビックはあんな音ばかりじゃない!」って怒っていたな。

結局、彼の愛機は「Wal」っていう英国製のエレキベース
(パーシージョーンズとかミックカーンなんかが使ってる)に
変わって行くけれど、実はしっかり、彼の家には門外不出の
アレムビックのエレクトリックウッド(ダブル)ベース!
が一本足で鎮座していたのを私は知っている!。

さてこの時代のスタンリークラークの、少々丸くなった音なら、
彼も赦してくれるのだろうか?

まあ、とっくにお互い、この手の音楽には興味を失っていたけれど、
われらが上原ひろみちゃん参加で、また聴く事になっちゃったスタンリーの
これはなかなか好演!?じゃないだろうか…と思う。

蛇足だが、ひろみちゃんは、インタビュー記事でたびたび
「フランクザッパとキングクリムゾンが好き!」って
云ってたけど、本音なんだろうか??

ちなみに今、きちんと購入して聴くジャズのアルバムって
…彼女のみ…かな?。

The Stanley Clarke Band (featuring Hiromi Uehara) - Labyrinth


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2 Comments

ギターマジシャン says..."上原ひろみ"
上原ひろみは、小曽根と同様に、バークリーを主席で卒業したそうで、
河合楽器ジャズギター教室でバークリー教本を学びながら、プロや、
バークリー留学を夢見ていた自分からすると、雲の上の人のようです。

この曲は、スタンリー・クラークがベースを弾いているせいもあって、
かもめのリータントゥフォーエバーの感じですが、上原の弾くピアノは、
そこにとどまらないリリシズムと奔放さが混在して、素晴らしいです。

アレンビックは、とにかく高い、当時のオールドギターよりも高額で、
渡辺香津美に傾倒していた友人でさえ、高嶺の花だったほどですが、
そもそも素人には、ギターもベースも使いこなせなかった気がします。
2017.01.20 22:05 | URL | #- [edit]
pipco1980 says..."ギターマジシャンさん まいどです"
ひろみちゃん…現在、世界最高のピアニストだと思いますよ。
日本人っていう欲目なしで充分に….。
バークリーは彼女にはチャンスミーティングの意味以上でも
以下ないと云う気がしますがね。

ベースの彼の受け売りですけど、エレキベースという楽器はギター型の
設計自体に無理があって、必ずデッドポイントっていう音程が怪しい箇所が
潜んでいて、それを矯正する為にグレートフルデッドのクルー達が新設計にこだわり
丁寧に作られたのがアレムビックのベースと云う事になるようです。
ギターは、あんまり関係ないんで、どちらかと言えば不評でしたね。

この曲でも、ベースとピアノのユニゾンが気持ちいいほどジャストで
その気持ち良さが、このアルバムのグラミー賞って評価に直結してるかもしれません。

「アイツ、あんまり上手じゃないけど、音程だけはすごく良いよね!」

これがバンドマンとしては、最高の賛辞なんですね….!
2017.01.20 23:08 | URL | #- [edit]

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