ボチボチと生きてくよ!秋田篇

35年振りに故郷に戻り生活することになった、気がつけば中高年の泣き笑いなど。
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赤本の日々

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Leitz - Summar 5cm/2 (1937)

赤本」:別名ウタスペともいう「歌謡曲のすべて(全音出版)」
 という楽譜集。バンドマン必帯の書。ヒット歌謡の大部分を網羅。
 現在は上巻(昭和編)・下巻(平成編)に分冊されている…。
 ジャズスタンダード集の「黒本」「青本」というのもある。



「フリーランスのミュージシャン」と云えば、
大層聞こえは良いのだが、所詮は所属元のない、
仕事のない日はダラしないプータローで、
昼過ぎまで万年床で寝ているような「引き蘢り」でもある
バンドマンってな生業で、ダラダラと食いつないでた時代のこと。

私は、当時ニューミュージックっていわれてたジャンルに
既存の芸能プロが、強引に割り込んだようなカタチのアーティストの
バックバンドのメンバーに紛れ込みながら、
この業界に入ってきたものの、数ヶ月でそれも様々事情含みで、
クビ...。

そこで「まあ貴重な体験をしたなあ…」と、素直に元の学生に
戻っていれば、それはそこまでの良い思い出に過ぎなかったのだが…
ついつい、その先の...続きを見たくなってしまったのだった。

まあ、仕事なら何でもやらさせていただきますので、
ひとつヨロシクお願いしやす!

などと、大した考えもせずに、業界の偉そうな人を見ると
片っ端から頭を下げていたような初年度だったが、
そうすると時々、全く想定してないような仕事に出くわしたりする。

あるとき、ミリオンヒット前夜(!?)の、後に大晦日の
国民的歌番組ではド派手なステージで有名になる女性演歌歌手Kの
厚木あたりのキャバレー営業のトラ(誰かの代理)仕事をした。

私には、ギターだけじゃなくて、指揮振り(カウントを出したり、テンポ管理等々)も
しなければならなかった都合で、事前に譜面とカセットテープの
「音資料」を入手していたから、本来は苦手の演歌のわりには、
当日はまあまあ満足の内容…するとマネジメント側から、
翌日も是非頼みたい!...という話になった。

どうせそのあと帰宅したところで、三茶か三宿か下馬、五本木
(マイナーでしょ!)あたりで、夜明けまで酒を呑んで、
翌日午後まで寝る…そんなグータラ生活であるのだから、
二つ返事でOKした。

翌日、打ち合わせ通りに埼玉の志木市というところにある
ヘルスセンター(ラドンセンター?)に到着すると、
全身ピンクずくめのカメラを持ったご夫婦演芸師が
ケタタマシイ声で奇声を上げている。

その奥に、どこか見覚えのある年配の紳士が、上品に座って
静かに外の景色を見ている…。

はて?演歌師Kは何処なんだろうと思っていると、
どうやら当日はその御年配の紳士(懐メロ歌手さんらしい)の
伴奏が仕事らしい。それにしてもバンドらしき人たちが見当たらない?

やがてピンクの方々の演芸ステージが始まって、誕生日が
どうしただのと云う演題に花を咲かせているが、楽屋では
一向にバンドの打ち合わせが始まらない。先ほどの紳士と、
2、3人スタッフかマネージャーか?いずれにせよ胡散臭い
オッサンがダラしなく、トドのごとく横になって居る…。

仕方がないので、私が口火を切る…

「あのう、バンドさんは別の楽屋なんでしょうか?そろそろ打ち合わせなどを…」

と云うと、横になってテレビを見ていた蝶ネクタイの演芸師?のような
オジサンがこちらを振り向いて、「ほな、打ち合わせしまひょか?」
と、いきなりの関西弁で言います。

えっ? バンドって…もしや我々二人??
アコーデオンのオジサンと私(ギター).だけ…。

「向こうに居てる紳士は知ってはりますやろ?
演目は「野球小僧」それと「鈴懸の径」…これだけ
3回唄われますので、よろしゅうに(?)。」

「譜面?「赤本」持ってはりますやろ?...ええっ、持ってへん?
どういうこと?バンドマンなら絶対に持ってなきゃならん
もんでしょうが…まったく近頃の…まあ、ええですわ、
真ん中に譜面台置きまひょ...」

「で、野球小僧が終ったら、お客さんの素人歌伴やりますから、
MCのピンクのご夫婦が曲目を聴きだしたら、赤本で、もたもたせんと、
ささっとページ開いてな(私がかい!)…テンポはワテが出しますさかい…。
今日は3ステージそれやって終わりですわ…頼んますよ、ほんま…」

実際には、関西弁&バンドマン用語(逆さ言葉)で
これを早口で話すものだから、読解がとても困難…こんな感じだ…。

「コゾヤキュリーオワでトーシロバンマルハジデボンアカ…」

ちなみに前の晩のうちに、手持ちのストラトキャスターで演歌は
あまりに線が細いので、わざわざ友人宅に寄って、
ギブソン&メサブギアンプをわざわざ借りてきたのに…
よりによってアコーデオンデュオで素人(御老人)歌伴…

畳敷きのステージには、全く持って不釣り合いなメサブギには
もはや苦笑するよりほかなかったように思う。

3回目のステージ(?)を終え、少し落ち込んで片付けをしていると、
ヘルスセンター側の支配人さんという人が突然現れて…
「ご苦労様でした…また何かありましたら….あとこれ…
お客様からお預かりした『ご祝儀』です…確かにお渡ししましたからね…
アコーデオンさんの分は既にお渡ししてますんで…。」

輪ゴムで止めた4つの封筒…5千円入りが2通、1万円が1通、
そして2万円入りが1通…合計4万円。
それと取っ払い(日払い)の出演料が2万円…

懐メロ&素人歌伴恐るべし!。

ついさっきまでの暗く落ち込んだ気分は、もはやどこ吹く風!
フトコロ久々ホックホクの上機嫌で、まだ床が板張り(フローリング?)の
東武東上線に乗って帰宅する。以来、自分にとっての東武東上線は、
そうしたわけで、成功体験の気分上々な路線であり続けるのだ。

で、その時のお金で、上機嫌のまま「これでまた稼げるかな?」と
下心満々で「赤本」を購入した自分だったが、その後立て続けに
ロック系と云うか、POPS系なのか「レギュラー仕事」が決まって、
「赤本」を使うような仕事は、もう殆ど廻ってこなかったように思う。

とりもなおさず、その時はまだバンドマン歴半年くらい…
半分はまだ学生で、PA屋のオペレータでもある、
ヨワイハタチのワタクシでありましたとさ…終わり。



ニックドレイク…興味があったらWikiでも引いて調べてみて欲しい。
…というか、彼の音楽の前では、だらだらとした言葉は要らない…
そんな気がする。

彼が遺したオリジナルアルバムの3枚は.特に希少盤とかいうものではなくて
たぶん、ちょっと大きな…特にイギリス系が強いVirginとかHMV系の
CD屋さんなら、ほぼ常備してあるはずの作品だが、自分にとっては、
アナログの時代から、とても大事な「盤」で、「家宝」。

深い「悦び」とか「哀しみ」…そんな重たいものは要らないよ
という人は、触らない方が無難だ…そんな音楽。

この曲は1stアルバム「Five Leaves Left」の2曲目に入ってる…。
何故かYouTubeのこのヴァージョンには、風のざわめきとか鳥のさえずりとか
SEが入っていて(オリジナルにはない)、普通なら邪魔臭いな…と
思うところだが、これが何と実にいい感じ…一段と不思議な感じに仕上がってる。

Nick Drake- Riverman


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4 Comments

ギターマジシャン says..."ニックドレイク"
ほとんど知らなかったので、Wikiを見てきましたが、それ以上に、この音楽だけで十分伝わってくる気がします。
(お姉さんが、謎の円盤UFOの紫の髪の人というのは、びっくりです)

映像とSEは、名曲アルバムとか時報前の5分番組みたいに楽しめますし、音だけを聴くと、トラディショナルなフォークの響きとストリングスが絶妙で、昔のサントリーのCMの雰囲気もしました。

YouTubeで、何曲か聴きましたが、アップテンポのスリーフィンガーの曲は軽快ですし、語りかけるような曲、叩きつけるようなストロークの曲と、それぞれに味わいがあり、以前紹介されていたピンクムーンはすごく良かったです。

赤本なんていうと、受験問題集を連想しますが、歌謡曲の赤本は持っていないものの、ジャズのほうは、海賊版になるのでしょう、手書きのガリ版刷りの冊子で、灰色と水色の表紙のを買いました。
2017.07.29 10:51 | URL | #- [edit]
pipco1980 says..."ギターマジシャンさん 毎度です"
1、2作目は、私も贔屓のフェアポートの連中、殊にリチャードトンプソンあたりが
ギターで参加してたり、デビュー直前のクリムゾン関係者がノークレジットで手伝ってたり、
ヴェルヴェッツのジョンケイルも参加してたり、で、ナカナカ賑やか(?)だったんですが、
そのわりには全然売れなかったことが、当人の「鬱」を加速させ、
3枚目のPink Moon制作の頃は、殆ど会話も出来なかったくらい病状が進行していたから、
録音もシンプルにたった一人で弾き語り形式…となったようです。

私はこれを70年代後半、渋谷道玄坂を神泉方向に昇ったあたりのロックカフェ
(BlackHawk...だったかな??)で、とても大きなヴォリュームで初めて聴いた時の衝撃を、
今でも忘れられません。速攻でアーティスト名、アルバム名、曲名をメモしましたねえ!
懐かしいです。

黒・青本の海賊盤っていうのが面白いですね。
たぶんジャズ屋なんて、金はないけど、暇はありあまるほどある!ってわけで
シコシコ手書きで海賊本をでっち上げて、友人や後輩に売って小銭を稼いでた!
そんな話が容易に想像できるところが、ジャズ屋の哀しい実情だったりします。
2017.07.29 13:14 | URL | #- [edit]
つかりこ says..."こんちはー"
全然知らない人でした。
しかし、カバーしている人も多く、
その道の人たちの間では有名な人だったんですね。

僕もYouTubeで、何曲か聴かせていただきました。
ギターを抱えて、川の流れや月を見つめながら、
過去を思い出したり内省したり・・・
ほんものの詩人であり、音楽家であるんでしょうね。
とてもアーティスティックな印象を受けました。
曲調も歌詞も、“黒ポール・サイモン” と言ったら怒られるでしょうか。

伴奏と主旋律が相まって醸し出す曲調が、
作者の言いたいこととばっちりハマっているように感じました。
歌詞も曲も少し抽象的なので、映画など映像と合わせてみたくなります。
すばらしいご案内、ありがとうございました。

セッションマン武勇伝、楽しいです!!
2017.07.29 15:36 | URL | #- [edit]
pipco1980 says..."つかりこさん まいどです"
英国とか欧州のフォークシーンと云うのは、中世以来の吟遊詩人とか、
文化史観、歴史観、美学等々.米国のそれとは背景の深みが異なるわけで、
倫理的にも、楽譜に書き起こしてはイケナイとか、一子相伝、門外不出の
秘密のコードとか、神秘性も持ち併せている上に、エンターテインメントとは
相容れないところもあって、ナカナカ日本に居て、英国の深くて暗い森の仙人や魔女を
捜すのは大変だったりします。

そうした意味で、深い森の住人ニックドレイク….見つけてくれてありがとうって、
そういってるような、そんな気がします。

アコーデオンとセッションは、素人おとーさんの「プレイバックパート2」まで行きましたから、
まあ、壮絶なセッション??でしたかね。
2017.07.29 21:08 | URL | #- [edit]

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